■2001年行政書士試験・行政法

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■行政組織法(2001−8)【理論問題】

行政組織についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 決定権限を有する大臣をトップとする各省庁は、公法人であり、公法上の権利・義務の帰属主体としての役割を担う。

2) 公団、公庫、事業団などは、特殊法人と呼ばれているが、法的には国という公法人に所属する、その一機関にすぎない。

3) 行政主体の意思を決定し、これを外部に対して表示する権限を有する行政機関のことを行政庁という。

4) 行政機関が、行政主体のために行うことのできる事柄・活動の範囲は権限と呼ばれ、私法上の権利と同様に、その権限行使を担当する公務員に効果が帰属する。

5) 行政組織の長である大臣と、その組織に服する職員との間には、公法上の服務関係が成立し、私企業におけるような雇用関係、労働関係は成立しない。

■解説

【難易度】易しい。『プロゼミ』程度の基礎知識で対応できる。

1) 誤り。公法上の権利義務の帰属主体としての役割を担うのは、各省庁ではなくである。石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)56頁。

2) 誤り。特殊法人はそれ自体1つの法人である。なお特殊法人概念についてはかなり難しいものがあるので、本肢の解説については最終的な結論を留保しておく。この点については、塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)384頁以下参照。

3) 正しい。前掲石川46頁。

4) 誤り。公務員が行使する権限の効果は、公務員ではなく行政主体(例えば、地方公務員が権限を行使した場合の効果は、当該公務員が属する地方公共団体)に帰属する。前掲石川48、96頁参照。

5) 誤り。雇用関係、労働関係は成立する。前掲石川93頁以下参照。

■情報公開法(2001−9)【条文知識問題】

次は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第1条(目的)の条文である。空欄(ア)(イ)(ウ)に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

「この法律は、(ア)の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に(イ)する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で(ウ)な行政の推進に資することを目的とする」

ア イ ウ
1) 国民主権 公開 民主的

2) 人権保障 説明 透明

3) 国民主権 説明 透明

4) 人権保障 公開 透明

5) 国民主権 説明 民主的

■解説

【難易度】易しい。

情報公開法1条は以下のようになっている。

この法律は、(ア国民主権)の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に(イ説明)する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で(ウ民主的)な行政の推進に資することを目的とする。

よって正解は5)である。

■弁済供託の処分性(2001−10)【判例知識問題】

弁済供託に関する次の記述のうち、最高裁判所の見解として妥当なものはどれか。

1) 弁済供託は、弁済者の申請により供託官が債権者のために供託物を受け入れ管理することを内容とする民法上の寄託契約の性質を有するから、弁済者からの供託金払戻請求は、民法上の寄託物返還請求である。

2) 供託官が供託金払戻請求を理由がないとして却下した行為は行政処分であり、これを不服とする場合の訴訟形式は行政事件訴訟の方法によるべきである。

3) 供託金払戻請求権の消滅時効期間は、公法上の金銭債権についての5年である。

4) 供託金払戻請求権の時効は、供託官において、その請求権が行使されることを客観的に知ることのできる供託のときから進行する。

5) 供託官が供託金払戻請求を理由がないとして却下しても、審査請求をすることはできない。

■解説

【難易度】難しい。2001年行政法の中で1番難しかったと思われる問題である。但し前掲石川著を読んでいた人はおそらく1発で正解できたであろう。出題元は最大判昭和45年7月15日である。前掲石川291頁。なお肢の1つならともかく、この判例を大問1つで扱うということは、もう当分ないと思われる。

1) 誤り。寄託契約という説明は正しいが、供託金払戻請求は民法上の寄託物返還請求ではない。

2) 正しい。これが正解である。

3) 誤り。弁済供託は、民法上の寄託契約の性質を有するので、消滅時効期間は民法上の10年となる。

4) 誤り。消滅時効の起算点は、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時、である。

5) 誤り。審査請求は認められている。

■行政事件訴訟法(2001−11)【条文知識問題】

行政事件訴訟法が定める「抗告訴訟」ではないものは、次のうちどれか。

1) 処分の取消しの訴え。

2) 無効等確認の訴え。

3) 不作為の違法確認の訴え。

4) 当事者訴訟。

5) 裁決の取消しの訴え。

■解説

【難易度】易しい。

抗告訴訟とは、「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」(行政事件訴訟法3条1項)であるが、その具体例として処分の取消の訴え、裁決の取消の訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴え(3条2−7項)が法定されている。なお後2類型は、2001年本試験後の改正によってできた類型である。

よって抗告訴訟でないものは、4)の当事者訴訟である(4条)。

■行政手続法(2001−12)【条文知識問題】

次のうち、行政手続法の適用がないものは、いくつあるか。

ア) 外国人の出入国、難民の認定または帰化に関する処分

イ) 人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分

ウ) 審査請求、異議申立てに対する行政庁の裁決または決定

エ) 公務員に対してその職務または身分に関して行われる不利益処分

オ) 法令に基づき相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的とし、その双方を名あて人として行われる処分

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】易しい。この手の問題は肢の1つという形態でも出題されやすいので、注意を要する。試験直前の条文素読で対処したい問題であろう。

ア) 行政手続法3条10号。

イ) 3条11号。

ウ) 3条15号。

エ) 3条9号。

オ) 3条12号。

正解は5)の5つである。

■行政手続法(2001−13)【条文知識問題】

行政手続法において、「申請に対する処分」の手続として義務的と定められていないものは、次のうちどれか。

1) 標準処理期間を定めた場合におけるその公表

2) 拒否処分の通知における理由の提示

3) 関係国民の意見陳述のための手続

4) 審査基準の原則的公表

5) 申請到達後遅滞なく審査を開始すること

■解説

【難易度】易しい。出題者の意図は、ある手続が法的に義務付けられているのか、それとも行政の努力義務にとどまるのか、その点を問うというものであろうが、問題文には「義務的」としか書かれていない点で、不適切であるように思われる。努力義務も義務であるので、「法的義務と定められていないものは…」という問題文でないと正確ではなかろう。

1) 義務的である。標準処理期間を定めること自体は努力義務であり、定めた場合の公表は法的義務となる。6条。

2) 義務的である。8条1項。

3) 義務的でない。よってこれが正解。10条。

4) 義務的である。5条3項。

5) 義務的である。7条。

申請に対する処分、不利益処分における行政庁の義務(法的義務か努力義務か)を区別しておきたい。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)293、301頁参照。

■行政手続法(2001−14)【条文知識問題】

行政手続法の定める行政指導に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 行政指導に携わる者は、当該行政機関の任務または所掌事務の範囲を逸脱してはならない。

2) 行政指導に携わる者は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由に、不利益な取扱いをしてはならない。

3) 申請の取下げ指導にあっては、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したときは、行政指導を継続する等して申請者の権利を妨げてはならない。

4) 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を明確に示さなければならない。

5) 行政指導に携わる者は、当該行政指導につき不服申立てをすることができる旨ならびに不服申立てをすべき行政庁および不服申立期間を教示しなければならない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。32条1項。

2) 正しい。32条2項。

3) 正しい。33条。

4) 正しい。35条1項。

5) 誤り。よってこれが正解。行政指導は、あくまで事実行為であり処分ではないので(2条6号)、行政不服審査法に基づく不服申立の対象にならない(なお36条の2参照)。

■行政不服審査法(2001−15)【条文知識問題】

行政不服審査法の定める審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(法改正により記述を改めた)。

1) 審査請求は、処分庁または不作為庁に対してする。

2) 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、しなければならない。

3) 審査請求は、口頭ではすることができない。

4) 審査請求書を郵便で提出した場合には、郵送に要した日数は審査請求期間に算入される。

5) 審査請求の裁決に不服がある者は、法律または条例に再審査請求をすることができる旨の定めがあるときは、再審査請求をすることができる。

■解説

【難易度】

1) 誤り。審査請求をすべき行政庁は4条1−4号に規定されている。これらのうち「処分庁等の最上級行政庁」に対して審査請求を行うのが基本原則である(4条4号)。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)20頁以下。

2) 正しい。審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月以内にしなければならない(18条1項)。

3) 誤り。審査請求は審査請求書を提出するのが原則だが、例外的に口頭でなし得る場合もある(19条1項)。

4) 誤り。郵便、信書便に要した日数は算入されない(18条3項)。

5) 誤り。審査請求の裁決に不服がある者は、「行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」に、再審査請求をすることができる(6条1項)。旧規定(旧8条1項1号括弧書)と異なり、条例で再審査請求制度を設けることは認められていない。前掲宇賀38頁。

■行政不服審査法(2001−16)【条文知識問題】

行政不服審査法の定める教示に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合に、その行政庁に審査請求がされたときは、当該審査請求は却下される。

2) 行政庁は、不服申立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨、不服申立てをすべき行政庁および不服申立期間を教示しなければならない。

3) 利害関係人から行政庁に対し、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか教示を求められても、行政庁は必ずしも当該事項を教示しなくてもよい。

4) 書面による教示が求められた場合に、当該教示は口頭で行ってもかまわない。

5) 地方公共団体その他の公共同体に対する処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについても、教示の規定が適用される。

■解説

【難易度】

1) 誤り。誤って教示された行政庁に審査請求がなされた場合、「その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない」(22条1項)。

2) 正しい。82条1項。

3) 誤り。本肢の場合、教示をしなければならない(82条2項)。

4) 誤り。書面による教示を求められた場合、書面で教示しなければならない(82条3項)。

5) 誤り。本肢の場合、教示の規定は適用されない(7条2項)。