■2001年行政書士試験・法令記述式問題

行政書士合格講座行政書士試験の過去問分析>2001年行政書士試験・法令記述式

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■憲法(2001−36)【条文知識問題】

次の文章を読み、〔A〕〔B〕(漠字各2字)に当てはまる語句として正しいものを記入しなさい。

日本国憲法によれば、「内閣は、毎会計年度の〔A〕を作成し、国会に提出して、その審議を受け〔B〕を経なければならない。」とされるが、そこにいう〔B〕が、具体的にどういう形式の〔B〕であるのかは、明らかにされていない。財政民主主義を強調して、租税の場合と同様、正式に法律として〔B〕すべきだという有力な学説もあるが、一般には、法律とは違う〔A〕という形式の法規範として〔B〕されるものと、考えられている。内閣が作成した原案の方を〔A〕と呼ぶ一方で、それを審議する国会が〔B〕した法規範をも同じく〔A〕と呼んでいるわけで、用語としてはいささか紛らわしくなっている。

■解説

答えは、「内閣は、毎会計年度の〔A予算〕を作成し、国会に提出して、その審議を受け〔B議決〕を経なければならない」(86条)である。

本問の後半で述べられているのは、予算の法的性格に関する学説である。
問題文中「一般には」以下の部分で述べられているのが通説たる予算法形式説である。予算は、一般国民を拘束せずその効力が一会計年度に限られていること、また提出権が内閣のみにあり衆議院に先議権が認められているため、通説はこれを「法律とは異なる」予算という独自の法形式と考えている。これに対し問題文中「有力な学説」として述べられているのが予算法律説である。

本問については、芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)332頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(2011年、成文堂)534頁参照。

■行政法(2001−37)【理論問題】

次の〔A〕−〔D〕に該当する行政法の専門用語を枠内に縦に記入し、下の図の@とA(いずれも行政法の専門用語で漢字2字)を解答欄に記入しなさい。

ア) 通説によれば、取消訴訟において、法律上保護された利益を持つ者に〔A〕(漢字4字)が認められる。

イ) 地方自治法の改正により、国の行政機関から都道府県の法定受託事務について、是正の〔B〕(漢字2字)の形で関与がなされる。

ウ) 行政行為の分類で、確認・公証・受理と並んで、〔C〕(漢字2字)は準法律行為的行政行為に区分されている。

エ) 行政手続法において、事務所への〔D〕(漢字2字)が、申請に対する審査を開始する義務の起算点である。

@
A□■□□
B□■

A
C ■□
D□■

(管理人注 便宜上横にしています。黒マスを埋めてできる専門用語を答えることになります)。

■解説

ア) A原告適格(行政事件訴訟法9条1項)。

イ) B指示。各大臣は、所管の事務に関係する都道府県の法定受託事務の処理が法令に違反していると考えるときなどは、是正の指示を出すことができる(地方自治法245条の7第1項)。

よって@の答えは、「告示」となる。

ウ) C通知。伝統的行政学は、行政行為を「法律行為的行政行為」と「準法律行為的行政行為」に分類し、準法律行為的行政行為には確認、公証、受理、通知があるとしてきた。なお通知とは、特定又は不特定多数の人に対し、特定の事項を知らしめる行為をいう。

エ) D到達(行政手続法7条)。

よってAの答えは「通達」となる。本問題ついて、田中二郎『新版行政法上』全訂第2版(1974年、弘文堂)120頁以下参照。

■行政法(2001−38)【条文知識問題】

次に示す行政事件訴訟法第7条の条文中の、空欄に入る正しい語句(漢字4字)を記入しなさい。

「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、(    )の例による。」

■解説

本問の答えは「『民事訴訟』の例による」となる。

現行の行政事件訴訟法は、「民事訴訟と並ぶ意味での自足完結的な法典としては仕上げられていない」(塩野宏『行政法U』第4版〔2005年、有斐閣〕73頁)。結果として行政事件訴訟における具体的な審理方式、つまり口頭弁論や証拠についての規定が行政事件訴訟法には存在しない。よって行政事件訴訟法7条は、行訴法に規定のないものは民事訴訟(法)の例によるとしているのである。この点については、前掲塩野59−60頁参照。

■行政書士法(2001−39)

■解説

現在行政書士法は試験科目ではないため、問題文の掲載、解説を省きます。

■民法(2001−40)【理論問題】

次の事例で、文中の空欄に入る甲の民法上の権利を、解答欄にそれぞれ漢字10字以内で記入しなさい。

産業廃棄物の排出事業者が産業廃棄物の処理業者にテレビやパソコンなどの電気機器の廃棄処分を委託した。排出事業者は適法に処分されているものと思っていたところ、処理業者は甲所有の山林に不法に投棄していた。この場合、甲は排出事業者に原状回復のため〔A〕を行使することが考えられ、処理業者には投棄した廃棄物の除去に代えて〔B〕を行使することも考えられる。

■解説

A) 甲の山林について処分、使用、収益に関する権利、すなわち所有権(民法206条)が、産業廃棄物により侵害されているということになる。このように所有権といった物権が侵害されている場合にとりうる手段としては、物権的請求権占有訴権の2つがある(甲は自己の山林について占有権も有している〔180条〕)。

本問では山林の利用が産業廃棄物により妨げられているので、甲は物権的妨害排除請求権占有保持の訴えを行使できる。これがAの解答となる(どちらか一方を書けばよい)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U物権』第2版(1994年、有斐閣)15、125頁以下参照。
なお本試験の採点では、これ以外の解答にも点数がついたことがいろいろ報告されている。

B) 産廃処理業者は自己の故意または過失により甲の権利を侵害しているので、甲は不法行為に基づく「損害賠償請求権」(709条)を行使できる。これが正解である。