■2000年行政書士試験・憲法

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■精神的自由権(2000−4)【判例知識問題】

次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に適合するものはどれか。

1) 地方公務員の政治的行為を制限する法律は、民主的政治過程を支える政治的表現の自由の侵害であるから、違憲である。

2) 国の法律を待たずに、地方公共団体がデモ行為を禁止する条例を定めるのは、集会・結社の自由の侵害であるから、違憲である。

3) いわゆる定住外国人に、地方公共団体の長や議会の議員等に対する選挙権を付与する法律は、国民主権の侵害であるから、違憲である。

4) 地方公共団体の議会がその議員に対して行った除名処分は、議会の自律権を尊重すべきであるから、裁判所による審査の対象にはならない。

5) 地方公共団体が靖国神社に玉ぐし料等を奉納する行為は、両者の係わり合いが相当とされる限度を超えており、違憲な公金支出である。

■解説

【難易度】易しい。今後の勉強においては、違憲、合憲という判例の結論もさることながら、その理由についてもおさえておくことが必要になろう。

1) 適合しない。国家公務員の政治活動の自由を規制する法律の合憲性については、猿払事件(最大判昭和49年11月6日)がある。最高裁はこの事件で、すべての公務員の政治活動を一律前面に禁止し、刑罰を科している国家公務員法を合憲としている。この論理を前提とすると、地方公務員の政治活動の自由に対する規制も合憲とされよう。 芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)255頁以下。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)162頁以下。

2) 適合しない。条例(公安条例)によるデモ行為の規制については、新潟県公安条例事件東京都公安条例事件(最大判昭和29年11年24日、最大判昭和35年7月20日)等で合憲とされている。もっとも後者の判例については、批判が多い。前掲芦部196頁以下、佐藤289頁以下。

3) 適合しない。最判平成7年2月28日は、地方自治体レヴェルにおいて定住外国人に選挙権を与える法律を制定しても違憲とはいえないとしている。前掲芦部90頁、佐藤145頁

4) 適合しない。地方公共団体議員に対する「懲罰」は司法審査の対象とならないが(最大判昭和35年10月19日)、「除名」は司法審査の対象となる(最判昭和26年4月28日)。 前掲芦部316頁、佐藤594頁。

5) 適合する。愛媛玉串料訴訟(最大判平成9年4月2日)の趣旨に合致する。 前掲芦部154頁、佐藤238頁。

■条文総合問題(2000−5)【条文知識問題】

次の記述のうち、日本国憲法の規定にないものはどれか。

1) 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2) 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

3) 何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

4) 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

5) 国会の会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 条文にある。15条1項。

2) 条文にある。22条2項。

3) 条文にある。34条。

4) 条文にある。48条。

5) 条文にはない。よってこれが正解。この条文は国会法68条(会期不継続の原則)である。

■主権概念(2000-6)【理論問題】

次のうち、「主権」という言葉が他とは違う意味で使われているものはどれか。

1) ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

2) 政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

3) 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

4) 国民主権の原理は、国政が国民の厳粛な信託によるものであることを意味する。

5) 高度の政治性を有する国家行為は、司法審査になじまず、国会などの政治部門の、最終的には主権者たる国民の、政治責任において行われるべきである。

■解説

【難易度】やや難。2000年試験憲法の中では1番難しい問題であったと思う。

「主権」概念は、以下3つの異なる意味を持つ多義的概念である(前掲芦部40頁以下、佐藤387頁以下)。

@ 統治権:立法、司法、行政権を総称するもの。
A 国家権力の最高独立性:国家権力が国内では最高であり、対外的に独立していること。
B 国政の最終決定権 国の政治のあり方を最終的に決定する力又は権威のこと。この意味の主権を国民が有しているのが、国民主権である

正解は2)である。この中に出てくる主権だけは、Aの意味を指す。他の選択肢は、Bの意味(国民主権)を指す。

■憲法が設置を予定する組織(2000−7)【条文知識問題】

次のうち、それを設置することが日本国憲法において明文で規定されているものは、いくつあるか。

ア) 人事院

イ) 会計検査院

ウ) 公正取引委員会

エ) 国家公安委員会

オ) 行政裁判所

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】易しい。

正解はイ) 会計検査院の1つである(90条2項参照)。
なおア)ウ)エ)については、憲法では何も言及されていない。また行政裁判所といった特別裁判所は、設置を予定しているのではなく禁止しているのである(76条2項)。