■2000年行政書士試験・地方自治法

行政書士合格講座行政書士試験の過去問分析>2000年行政書士試験・地方自治法

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■地方自治法改正(2000−17)

平成11年改正の新地方自治法に定める事務配分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 従来、地方公共団体の機関は国の事務と団体事務とを処理していたが、前者は、機関委任事務といい、後者には、公共事務、団体委任事務、行政事務の区別があった。新地方自治法により、地方公共団体は、法定受託事務と自治事務とを処理することとされている。

2) 新地方自治法により、地方公共団体は、地域における事務およびその他の事務で法令により処理するものとされるものを処理することとなった。

3) 法定受託事務は、法令の定めるところにより、国の各大臣の権限に属する事務の一部を都道府県が処理することとされた事務と、条例の定めるところにより、都道府県知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することとされた事務との、2つからなる。

4) 新地方自治法により、かねて団体事務の内容をなすとされていた公共事務、団体委任事務、行政事務の3区分は廃され、従来、必要事務と随意事務とされていた区分が意味を増すことになった。その場合、前者は法定自治事務、後者は非法定自治事務である。

5) 新地方自治法により、従来、機関委任事務とされていた事務のうち、そのほぼ45%が法定受託事務となり、残りの多くが法定自治事務となったが、他に国の直接執行事務に変わりあるいは事務自体が廃されることになったものがある。

■解説

1) 正しい。旧法の説明については、石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』」改訂版(2000年、日本評論社)79頁の図を参照。一方新法については、「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する」(地方自治法2条2項)とされている。ここで言う、「地域における事務」が自治事務を、「その他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるもの」が法定受託事務を指す。前掲石川76−77頁。

2) 正しい。1)の解説参照。

3) 誤り。よってこれが正解。2条9項。法定受託事務の定義が、第1号法定受託事務、第2号法定受託事務共に誤っている。

4) 正しい。3区分の廃止については前掲石川79頁の表参照。必要事務と随意事務については、兼子仁『新地方自治法』(1999年、岩波書店)166頁。

5) 正しい。機関委任事務の約半数は廃止、残りは法定受託事務になった。今村成和(畠山武道補訂)『行政法入門』第6版補訂版(2000年、有斐閣)35頁、国の直接執行事務につき、前掲兼子177頁以下参照。

■地方公共団体の立法(2000−18)

地方公共団体の自治立法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 地方公共団体は、条例により法令に対し上乗せ的な規制を定めることができるが、そのためには法令の個別的授権が必要である。

2) 地方公共団体の長は、行政立法である規則を定めることができるが、それには条例の授権が必要である。

3) 地方公共団体は、給付行政やサービス行政については、要綱で住民に義務を課すことができる。

4) 地方公共団体の行政委員会は、その権限に属する事務につき、法律の委任に基づき規則を定めることができる。

5) 地方公共団体の長は、行政組織の内部の定めとして、規程を定めることができるが、それは必ず公開しなければならない。

■解説

1) 誤り。上乗せ条例が許容されるか否かは、法令が地方の実情に応じて別段の規制を容認しているか否かで決まる(徳島市公安条例。最判昭和50年9月10日)。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)146−147頁。

2) 誤り。長の規則制定権の根拠は、地方自治法15条1項にある。よって条例の授権は不要である。

3) 誤り。義務を課し、又は権利を制限するには、条例によらなければならない(14条2項)。

4) 正しい。138条の4第2項。

5) 誤り。規定は行政の内規であり、必ずしも公開しなければならないというものではない(16条5項参照)。同条項が、規定の内「公表を要するもの」の公表方式に触れている点に注意。

■公の施設(2000−19)

地方公共団体の自治立法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正あり)。

1) 地方公共団体は、各「公の施設」の住民による利用が有料・無料であるにかかわらず、施設の設置自体を条例で規定しなければならない。

2) 各「公の施設」の設置につき条例が制定されていれば、その使用料の額は地方公共団体の長の規則だけで定めることができる。

3) 「公の施設」の設置につき条例が制定されていれば、住民による使用申込および使用承認の制度は、各施設の処務規程で定めるのが普通である。

4) 「公の施設」の管理を公共的団体に委託することは、条例に定めがなくても、当該団体との委託契約で定めることができる。

5) 「公の施設」の管理を他の地方公共団体に委託することは、条例に定めがなくても、地方公共団体間における事務委託の契約により行うことができる。

■解説

1) 正しい。244条の2第1項。

2) 誤り。使用料は条例で定めなければならない(228条1項)。

3) 誤り。このような公の施設の管理に関する事項も条例で定める必要がある(244条の2第1項)。

4) この肢と関係する244条の2は試験後改正された。改正前は、公の施設の管理について「公共団体」(他の地方公共団体等)、「公共的団体」(生活協同組合、ボランティア団体等)に委託することが認められていたが、改正により指定管理者に公の施設の管理を任せられるようになった(224条の2第3項。指定管理者は、株式会社でも可)。指定管理者による公の施設の管理についても、条例の規定を要する。前掲塩野173頁参照。

5) 誤り。4)と同じくこの場合も条例で定めなければならない。244条の2第3項。

■外部監査制度(2000−20)

地方公共団体の自治立法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 外部監査制度には、包括外部監査制度と個別外部監査制度とがあり、前者は、都道府県、指定都市、中核市、特例市では必置とされているものである。

2) 外部監査人になることができる者は、弁護士、公認会計士、税理士に限られる。

3) 包括外部監査制度は、法定必置の地方公共団体以外は、条例により設置することができる。

4) 外部監査制度が設置された地方公共団体については、これまでの監査委員は、条例の定めるところにより、廃止することができる。

5) 包括外部監査人をおく地方公共団体は、個別外部監査人をおくことはできない。

■解説

1) 誤り。包括外部監査制度が必置とされているのは都道府県(1号)、指定都市および中核市(2号)、1、2号以外で契約に基づく監査を受けることを条例により定めた自治体(3号)である(252条の36)。特例市については必置ではない。

2) 誤り。外部監査人になることができる者は、「普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者」であり、かつ弁護士(1号)、公認会計士(2号)や(252条の28第1項)、税理士(252条の28第2項)の他、252条の28第3項に該当する者も外部監査人になり得る。

3) 正しい。252条の36第1項3号。

4) 誤り。監査委員は、地方自治法上必置の執行機関なので、廃止できない(180条の5第1項4号)。

5) 誤り。個別外部監査は、包括外部監査と機能する場面が異なるので、包括外部監査人をおいたからといって、個別外部監査人(252条の39)をおくことができないということにはならない。