■2000年行政書士試験・行政法

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■行政立法(2000−8)【理論問題】

行政立法についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 行政立法は、行政庁の処分と並んで公権力の行使であり、公定力・不可争力などの効力が認められる。

2) 罪刑法定主義の原則により、行政立法で罰則を設けることは、法律で個別・具体的な委任がなされている場合でも、許されない。

3) 行政立法は政令、省令、訓令、通達などからなるが、いずれも行政機関を法的に拘束するものであり、裁判所はこれら行政立法に違反する行政庁の処分を取り消すことができる。

4) 行政立法が法律による授権の範囲を逸脱して制定された場合には、裁判所はその行政立法を違法とし、その適用を否定することができる。

5) 地方公共団体における法律の執行は、その長の定める規則に委任されるのが原則であり、条例により法律を執行することはできない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。行政行為(本問題にいう行政庁の処分)に認められる公定力等の効力は、行政立法には認められない。石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)158−159頁参照。

2) 誤り。法律の個別具体的な委任がある場合は、政令に罰則を設けることができる。憲法73条6号参照。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)61頁。

3) 誤り。訓令や通達は、行政官庁による法令の有権的解釈を示すものであるが、裁判所を拘束しない。裁判所は、訓令や通達とは関係なく当の処分が当該処分の根拠法に適合しているか否かを審査すれば足りる、とするのが判例である(最判昭和33年3月28日参照)。前掲櫻井他68−69頁。

4) 正しい。

5) 誤り。条例による法律の執行も可能である。地方自治法2条2項、14条1項参照。

■行政強制(2000−9)【理論問題】

行政強制についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 無許可営業をしている者の不作為義務については、営業停止命令を出すことにより作為義務に変更すれば、行政代執行法に基づき代執行をすることができる。

2) 代執行などの行政上の強制執行と、行政罰はその目的を異にするから、同一の義務違反に対し、強制執行と行政罰を併用することは可能である。

3) 即時強制は公権力の行使であるから、公定力を有し、私人は権限ある機関にその取消し・差止めを求める以外の方法で、これに抵抗することはできない。

4) 取消訴訟、国家賠償請求訴訟という公法的な救済制度は、法効果を有する行政処分に限定されるから、行政強制に関する救済制度は、民法の不法行為法となる。

5) 行政庁が私人に対し強制を加えるためには、事前に私人に対し作為義務を課していることが必要であり、目前急迫の障害に対処するのは刑法上の正当業務行為である場合に限られる。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。行政代執行の対象は代替的作為義務である(行政代執行法2条)。よって、営業をするなという不作為義務を課す営業停止命令は、行政代執行の対象にならない。

2) 正しい。前掲石川201頁。

3) 誤り。公定力は、法行為たる行政行為に認められる効力であって、事実行為である即時強制には認められない。前掲石川158頁以下参照。

4) 誤り。代執行については、通知、戒告につき取消訴訟を提起することも考え得るが、救済措置としては国家賠償請求を利用することになる。また、直接強制は、先行する命令につき取消訴訟を提起することも可能である。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)234−236頁参照。

5) 誤り。即時強制を用いれば、事前の義務賦課を前提とせず目前急迫の障害に対処する事が可能である。前掲塩野254頁、櫻井他183頁。

■公物の取得時効(2000−10)【判例問題】

私人が公物につき、所有権を時効取得できるか否かに関する次の記述のうち、正しいものの組合せは、後記1)から5)のうちどれか。

ア) 国有財産法では、行政財産について法律行為による私権の設定を禁止し、違反行為を無効とするとともに、時効取得も禁止していることから、公物についての時効取得は認められない。

イ) 国または公共団体は、私有の公物につき時効取得することが認められていないのであるから、私人にも公物の時効取得は認められない。

ウ) 公物の所有権は国公有たると私有たるとを問わず私法上の私的所有権であるから、公用廃止前でも、何らの負担のない所有権を時効取得できると解するのが最高裁判所の判例である。

エ) 公物の保護によって確保される公的利益と時効制度の適用によって確保される私的利益を比較すると、前者が優先すると考えるべきであるから時効取得は一切認められないと解するのが最高裁判所の判例である。

オ) 公共団体に所有権を移転することが予定されていた予定公物を、国から譲り受け、それが無効であることを知らないで占有していた者に、時効取得を認めるのが最高裁判所の判例である。

カ) 公物であっても、長年の間事実上公の目的に使用されず、公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合など黙示の公用廃止があったとみられる場合には、行政庁の明確な公用廃止の意思表示がなくても、時効取得できるとするのが最高裁判所の判例である。

1) ア)、イ) 
2) イ)、ウ)
3) ア)、エ)
4) ウ)、カ)
5) オ)、カ)

■解説

【難易度】普通。

まず各肢の結論を見ると、公物につき時効取得が認められないという記述が見られるが(ア、イ、エ)、これは判例の立場と異なるので誤り。判例は、一定の条件下での公物の時効取得を肯定しているからである。

この段階で、ウ)、オ)、カ)のいずれかに正解を絞り得るが、オ)、カ)の5)が正解になる。オ)は最判昭和44年5月22日、カ)は最判昭和51年12月24日である。塩野宏『行政法V』第2版(有斐閣、2001年)288−289頁、前掲櫻井他34−35頁。

■行政事件訴訟法(2000−11)【条文知識問題】

行政事件訴訟法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(本試験後の法改正に伴い正解無し)。

1) 行政事件訴訟法によれば、「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟および越権訴訟をいう。

2) 行政事件訴訟法によれば、行政庁の不作為を争うことはできない。

3) 行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から3か月以内に提起しなければならない。

4) 行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、必ず審査請求を経てからでなければ提起することができない。

5) 行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、処分または裁決の相手方に限って提起することができる。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。越権訴訟に換えて機関訴訟とすれば正しい記述になる(行政事件訴訟法2条)。

2) 誤り。不作為の違法確認の訴え(3条5項)がある。また義務付け訴訟(3条6項)によっても不作為を争うことができる。塩野宏『行政法U』第6版(有斐閣、2001年)244頁、前掲櫻井他331−332頁。

3) 誤り。出訴期間は、処分又は裁決があったことを「知った日から6か月以内」である(14条1項)。

4) 誤り。8条本文(自由選択主義)。

5) 誤り。9条1項は、処分又は裁決の取消について「法律上の利益」を有する者が、取消訴訟を提起できると定めているので、とにかく法律上の利益を有する者であれば、処分又は裁決の当事者でない第三者でも取消訴訟を提起できる。前掲石川294頁参照。

■行政手続法(2000−12)【条文知識問題】

次の記述のうちに、現行法上正しいものはいくつあるか。

ア) 行政手続法および行政手続条例では、法律または条例の規定に基づかない行政指導は許されないものと定められている。

イ) 行政手続法は、地方公共団体の行政指導には適用されない。

ウ) 行政手続法は、法律に基づく地方公共団体の行政処分には原則として適用される。

エ) 行政手続条例は、地方公共団体の行政処分だけを対象にする。

オ) 行政手続条例が、地方公共団体における行政手続について、行政手続法と異なる内容の定めをすることも許されないわけではない。

1)1つ
2)2つ
3)3つ
4)4つ
5)5つ

■解説

【難易度】易しい。

ア) 誤り。そもそも行政指導は、法律の根拠を必要としない。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)207頁、前掲櫻井他137頁。

イ) 正しい。行政手続法3条3項。

ウ) 正しい。3条3項括弧書。前掲塩野283−284頁。なお、地方公共団体の機関がする処分の内、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものについては、行政手続法を適用しない。

エ) 誤り。3条3項が適用除外としている届出についても、行政手続条例の規律対象となる。前掲塩野284頁。

オ) 正しい。このように解されている。なお前掲塩野284頁参照。

よって正解はイ)、ウ)、オ)の3つとなろう。

■行政手続法(2000−13)【理論問題】

行政手続法に定める標準処理期間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 標準処理期間は、行政庁が申請を正式に受理した時点から進行する。

2) 標準処理期間は、許認可等について諾否いずれの処分を行う場合であっても、その応答をするまでに通常要すべき標準的な期間とされる。

3) 標準処理期間には、申請に対する補正指導の期間は含まれず、その間は標準処理期間の進行は停止するというのが通例の取扱いとされている。

4) 標準処理期間には、行政庁が申請に際して行うことがある事前指導の期間は算入されない。

5) 標準処理期間は、審査の進行状況や処分の時期の見通しについて申請者から問い合わせがあったときに、行政庁がその回答を準備する期間も含む。

■解説

【難易度】易しい。実質的には6条の知識があればすぐに正解できる問題である。

正解は1)である。標準処理期間は、「申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間」と定義されているからである(6条)。

■行政手続法(2000−14)【条文知識問題】

行政上の聴聞手続における当事者の権利として、主宰者の許可がなければ行使できないものは、次のうちどれか。

1) 文書等の閲覧権。

2) 行政庁職員に対する質問権。

3) 聴聞調書・報告書の閲覧権。

4) 陳述書の提出権。

5) 代理人の選任権。

■解説

【難易度】普通。

1) 許可は不要である。18条1項。

2) 許可が必要である。よってこれが正解。20条2項。

3) 許可は不要である。24条4項。

4) 許可は不要である。21条1項。

5) 許可は不要である。16条1項。

■行政不服審査法(2000−15)【条文知識問題】

行政不服審査法に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 日本国憲法が施行される以前には、行政不服審査法に対応する法律は存在していなかった。

2) 行政不服審査法が定める「不服申立」には、異議申立、審査請求及び再審査請求の3つの種類がある。

3) 行政不服審査法によると、外国人の出入国又は帰化に関する処分についても審査請求をすることができる。

4) 行政不服審査法によると、行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合で、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。

5) 行政不服審査法によると、行政庁の不作為については、申請者は、審査請求又は再調査の請求のいずれかをすることができる。

■解説

【難易度】

1) 誤り。旧憲法下における、現在の行政不服審査法に対応する法律として訴願法があった。塩野宏『行政法U』第6版(有斐閣、2001年)13頁。

2) 誤り。行政不服審査法が定める不服申立手続は、「審査請求」(2、3条)、「再調査の請求」(5条)、「再審査請求」(6条)の3つである。なお異議申立は廃止された。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)16、28、36頁。

3) 誤り。本肢の事項については、行政不服審査法に基づいた審査請求ができない。7条1項10号。

4) 正しい。5条1項本文。

5) 誤り。旧7条は、行政庁の不作為について審査請求又は異議申立ができる旨を規定していたが、異議申立が廃止された結果、行政庁の不作為についても審査請求により争うことになった(3条)。なお不作為について再調査の請求はできない。前掲宇賀19頁。

■行政不服審査法(2000−16)【条文知識問題】

行政不服審査法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 行政不服審査法によると、審査請求は、他の法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出してしなければならない。

2) 法改正に伴い削除。

3) 法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。

4) 多数人が共同して審査請求をしようとするときは、2人をこえない総代を互選することができる。

5) 審査請求は、代理人によってすることができる。

■解説

【難易度】

1) 正しい。「審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない」(19条1項)。

2) 法改正に伴い削除。

3) 正しい。10条。

4) 誤り。よってこれが正解。「多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる」(11条1項)。

5) 正しい。12条1項。